リンパ浮腫最新情報
2005年7月7、8日 名古屋で行われた日本静脈学会において、リンパ浮腫についての発表がありました。2次性リンパ浮腫(がん手術に伴うリンパ節切除が原因のリンパ浮腫)を予防する手術法、また、現在のところ最も支持されている治療法である複合的理学療法、リンパ管‐静脈吻合術についての講演がありました。

1. 婦人科がんにおける術後下肢リンパ浮腫の実態と下肢リンパ浮腫予防手術の開発
<佐々木寛先生 東京慈恵会医科大学附属柏病院婦人科助教授>
1997年1月から1998年12月の期間に子宮体がん301例、頚がん258例、卵巣がん 135例、(計694例)を対象とし、下肢リンパ浮腫を発症する危険因子、発症までの期間を算出。
○3年以内にリンパ浮腫発症 694例中189例(27.2%)
発症時期 一過性に発症 平均 術後2.6ヶ月
永続性に発症 平均 術後9.7ヶ月
○発症危険因子(どのようながん手術、治療を受けた後、リンパ浮腫を発症しやすいか)
子宮頸がん …… 傍大動脈リンパ郭清と骨盤内リンパ節郭清を同時にうけた
子宮頚がん、体がん …… 術後放射線治療をうけた
卵巣がん …… 傍大動脈リンパ郭清をうけた
→このことから傍大動脈リンパ郭清がリンパ浮腫に関与と確定
そこで、リンパ浮腫発症の危険が高い、体がんにおける傍大動脈リンパ郭清と骨盤内リンパ郭清を同時に行う症例を対象とし、8症例でがん手術中にリンパ郭清術終了直後、後腹膜空でのリンパ管細静脈吻合術を施行。所要時間90分から150分。8症例中7症例がリンパ管と細静脈吻合に成功し、術後4ヶ月経過し、リンパ浮腫は認められない。1症例のみ適切な細静脈がなく、太い静脈に吻合したが、3ヶ月目に一過性リンパ浮腫が出現したものの、1年目には浮腫は軽減した。

<結論>
下肢リンパ浮腫発症の危険因子を確定でき、また、後腹膜空でのリンパ管細静脈吻合が、術後下肢リンパ浮腫の出現を予防できる可能性が示唆された。


2. 下肢2次性リンパ浮腫に対する顕微鏡下リンパ管‐静脈吻合術<松原忍先生 琉球大学第2外科>
1998年11月から2004年12月までに顕微鏡下リンパ管‐静脈吻合術を8例10肢に施行。全例子宮がん根治術および放射線治療を受け、その後リンパ管炎や下肢腫脹と有していたため、複合的理学療法を行うが改善しない症例
○吻合数は平均約2.9本、複合的理学療法は術翌日より再開、継続

<結論>
観察期間中(平均56.7ヶ月)8例中7例でリンパ管炎が消失し、1例で頻度が著しく減少。また、周径縮小は4肢で著効。